Linux に関する自分の知識レベルに適したマニュアルを参照することが大切です。レベルに合わないマニュアルでは内容に圧倒されたり、逆に疑問に答えてくれる情報が見つからなかったりします。Red Hat Enterprise Linux リファレンスガイド では、より技術的に掘り下げた内容や Red Hat Enterprise Linux システムのオプションについて説明します。本セクションでは、必要な情報が本書で見つかるか、又はオンラインソースを含めて他の Red Hat Enterprise Linuxマニュアルを参照するべきか、判断材料を提供します。
Red Hat Enterprise Linux を使用するユーザーには3つの異なるカテゴリーがあり、各カテゴリーはそれぞれ異なるドキュメントと情報ソースが必要になります。どこから開始すべきか判断するには、自分の経験レベルを確認してみてください:
これまでに Linux(またはLinuxに類する)オペレーティングシステムをまったく使用したことがないか、Linux の経験がごくわずかしかないユーザーです。他のオペレーティングシステム(Windowsなど)を使用した経験があるユーザー、ないユーザー両方が含まれます。これに該当しますか? 該当する場合は、項3.1に進んでください。
これまでに Linux をインストールし、正常に使用したことがある(ただしRed Hat Enterprise Linuxは未経験な)ユーザーと、Linux に類する他のオペレーティングシステムで同様な経験があるユーザーです。これに該当しますか? 該当する場合は、項3.2に進んでください。
これまでにRed Hat Enterprise Linuxをインストールし、正常に使用したことがあるユーザーです。該当する場合は、項3.3に進んでください。
Linux が初めてのユーザーのために、プリント、システムの起動、ハードディスクのパーティション設定など、あらゆるテーマに関して用意された情報の量は、たぶん混乱を招くでしょう。最初は1歩下がって、これらの上級レベルの情報をアタックする前に、Linux の動作に中心を置いた知識を基本から習得していくことがこれからの助けになります。
最初の目標は、役立つドキュメントをいくつか用意することです。この点についてはいくら強調しても、強調しすぎることはありません。ドキュメントがなければ、思いどおりに Red Hat Enterprise Linuxシステムを動かすことができない自分にいらだちを感じるだけです。
必要な種類の Linuxマニュアルは以下のとおりです:
Linux の簡単な歴史— 現在の Linuxは多くの側面で、歴史的先例があって、その姿になっています。Linux 文化もまた過去のイベント、ニーズ、必要条件が基になっています。Linux の歴史に関する基本的な知識があれば、多くの潜在的な問題が現実になる前に解決方法を見い出すことができるでしょう。
Linux の動作に関する説明—Linuxカーネルの奥にある側面を詮索する必要はありませんが、Linuxがどのようにできているのかを知ることは重要です。これまで他のオペレーティングシステムを使用していた場合には、コンピュータが動作する仕組みについて前提と考えていたことのなかに、そのオペレーティングシステムからLinuxには当てはめて考えられない点もあるため、とくにこれが重要になります。
コマンドの概要に関する手引き(例を含む—これはおそらく、Linuxドキュメントの中で最も重要なものです。ジョブ全体を実行する巨大な(そして複雑な)コマンドが少しあるよりも、異なった方法で関係する小さいコマンドをたくさん使用した方がよい、というのが Linux に底流する設計思想です。ただし、作業を進めるこうしたアプローチの例示がなければ、Red Hat Enterprise Linux システムで使用できる膨大な数のコマンドに圧倒されかねません。
使用可能な Linuxコマンドすべてを記憶する必要はありません。タスクの遂行に必要な特定のコマンドを見つけるテクニックは、複数存在します。必要なのは、Linux が機能する一般的な仕組み、遂行するタスク、コマンドの実行に必要な正しい指示が得られるツールへのアクセス方法のみです。
Red Hat Enterprise Linux インストールガイドとRed Hat Enterprise Linux ステップバイステップガイドは、Red Hat Enterprise Linux システムを正しくインストールし、初期設定を助ける優れたリファレンスです。基本的なシステム管理を学んでいる人は、Red Hat Enterprise Linux システム管理入門ガイド から始めるとよいでしょう。これらの本からスタートして、Red Hat Enterprise Linux の知識の基盤を作ってください。基本が理解できれば複雑な概念も明確に分るようになります。
Red Hat Enterprise Linux マニュアル以上の件については、無料又は低額で他の優れたドキュメントリソースを利用することができます:
http://www.redhat.com/ — Red Hat社の Webサイトには、Linux Documentation Project(LDP)、Red Hat Enterprise Linuxマニュアルのオンライン版、FAQ(よくある質問)、最寄りのLinuxユーザーグループの検索に役立つデータベース、Red Hat Support Knowledge Base に格納された技術情報、などへのリンクがあります。
http://www.linuxheadquarters.com/ — Linux本社のWebサイトで、簡単に理解できる Linuxタスクの手順ガイドが参照できます。
問題の解決に挑戦する参加者の議論をウォッチするか、あるいは積極的に質問をポストしたり、他の参加者の質問に答えたりすることで、ニュースグループに参加できます。経験の深い Linuxユーザーは、さまざまな Linux 問題で新規ユーザーを手助けできる際立った存在として知られています。—特に妥当な場所での真剣な疑問に対しては、なおさらです。ニュースリーダーアプリケーションが利用できない場合は、以下の Webサイトでこの情報にアクセスすることが出来ます。http://groups.google.com/。Linux 関連のニュースグループは数十も存在します。主に以下のようなものがあります:
linux.help—経験豊富な Linuxユーザーから助言が得られる最高の場所です。
linux.redhat—主として、Red Hat Enterprise Linuxに関する諸問題をカバーするニュースグループです。
linux.redhat.install—インストールについての質問をポストする、また他のユーザーが同様の問題をどう解決したか検索する、などに適したニュースグループです。
linux.redhat.misc—上に掲げた在来の分類から外れる質問や、ヘルプをポストするニュースグループです。
linux.redhat.rpm—ある目的で RPM を使用していた時に問題が発生した場合、役に立つサイトです。
他の Linuxディストリビューションを使った経験がある場合、最もよく使用されるコマンドについては基本的な知識があるものと考えられます。自分で Linuxシステムをインストールしたことがあるか、インターネットで見つけたソフトウェアをダウンロードしてコンパイルしたことがあるユーザーもいるはずです。しかし、Linux のインストール後も、システム設定の問題で混乱することがしばしばあります。
Red Hat Enterprise Linux システム管理ガイド は、特定の目的を達成するためのさまざまな Red Hat Enterprise Linuxシステムの設定方法を説明します。このマニュアルにて設定オプションとその利用法について学ぶことができます。
Red Hat Enterprise Linux システム管理ガイド で扱われていないソフトウェアをインストールする場合は、似たような環境のユーザーどう対応したか分ると参考になります。次のサイトから利用できる Linux Documentation Project の HOWTO 文書 http://www.redhat.com/mirrors/LDP/HOWTO/HOWTO-INDEX/howtos.html は、低レベルカーネルの難解な変更から、アマチュア無線局の運営にLinuxを使用する方法まで、さまざまな側面を説明しています。
Red Hat Enterprise Linux システムの細かい点や特殊内容に関して不明な所がある場合は、Red Hat Enterprise Linux リファレンスガイドが優秀なリソースになります。
セキュリティ問題についてのソースは Red Hat Enterprise Linux セキュリティガイドです—Red Hat Enterprise Linux 保護の方策や措置について明確に説明しています。
Red Hat Enterprise Linux システムの細かい点や特殊内容に関して不明な所がある場合は、Red Hat Enterprise Linux リファレンスガイドが優秀なリソースになります。
古くからの Red Hat Enterprise Linux ユーザーであれば、特定のプログラムを理解する最善の方法の1つが、ソースコードあるいは設定ファイルの精読だとわかっているはずです。しかもRed Hat Enterprise Linux の最大の利点は、だれでもソースコードが入手できることにあります。
明らかに、すべての人がプログラマーではありませんから、ソースコードは多分、ユーザーには役に立たないかも知れません。しかし、これを読むだけの知識と能力が有れば、ソースコードはすべての答えを持っています。