5.2. procファイルシステム配下のトップレベルファイル

以下に、/proc/ディレクトリのトップレベルにある、より役に立つ仮想ファイルの一部のリストを示します。

注記注記
 

殆どの場合、このセクションにリストしてあるファイルの内容は、ご利用のマシンにインストールしているものと同じではありません。これは、その情報が、Red Hat Enterprise Linux を稼働しているハードウェアによって異なるためです。

5.2.1. /proc/apm

このファイルは APM (Advanced Power Management)システムの状態に関する情報を提供しており、apmコマンドで使用されます。バッテリを装着していないシステムが AC電源に接続される場合、この仮想ファイルは次のようになります。

1.16 1.2 0x07 0x01 0xff 0x80 -1% -1 ?

このようなシステムでapm -vコマンドを実行すると、 次のような結果が出力されます。

APM BIOS 1.2 (kernel driver 1.16ac)
AC on-line, no system battery

電源としてバッテリを使用しないシステムには、apmは、マシンをスタンドバイモードにセットする以外はあまり機能しません。apmコマンドはラップトップではもっと役に立ちます。例えば、次は電源に接続されているラップトップ上の cat /proc/apm コマンドから出力です。

1.16 1.2 0x03 0x01 0x03 0x09 100% -1 ?

同じラップトップを数分間、電源から切断すると、apm ファイルの内容は次のように変わります:

1.16 1.2 0x03 0x00 0x00 0x01 99% 1792 min

ここで、apm -vコマンドは、以下のような更に役に立つデータを作り出します。

APM BIOS 1.2 (kernel driver 1.16)
AC off-line, battery status high: 99% (1 day, 5:52)

5.2.2. /proc/buddyinfo

このファイルは主に、メモリの分散化問題を解析するために使用されます。このバディアルゴリズムの使用では、各桁はある任意の時間に利用できる特定の順の(又は特定のサイズの)ページ数を表示します。例えば、ゾーン DMA (direct memory access) には、メモリの 2^(0*PAGE_SIZE)グループの 90があります。同様に、利用できるメモリの2^(1*PAGE_SIZE)グループには 6、そして2^(2*PAGE_SIZE)グループには 2 があります。

DMAの列は、システム上の最初の16 MB を参照し、HighMemの列はシステム上の4 GB 以上の全てのメモリを参照して、Normalの列はその中間にある全てのメモリを参照します。

以下は、標準的な/proc/buddyinfo出力の例です:

Node 0, zone      DMA     90      6      2      1      1      ...
Node 0, zone   Normal   1650    310      5      0      0      ...
Node 0, zone  HighMem      2      0      0      1      1      ...

5.2.3. /proc/cmdline

このファイルは、起動した時点でカーネルに渡されたパラメータを示します。 サンプルの/proc/cmdlineファイルは以下のようになります。

ro root=/dev/VolGroup00/LogVol00 rhgb quiet 3

この事で、カーネルが読み込み専用((ro)で表示)でマウントされており、最初のボリュームグループ(/dev/VolGroup00)の最初の論理ボリューム(LogVol00)に配置されていることが分かります。LogVol00は、非-LVM システム(Logical Volume Management)内のディスクパーティションに相当します。/dev/VolGroup00は概念として/dev/hda1に似ていますが、より拡張性があります。

Red Hat Enterprise Linux で使用される LVM に関する詳細情報は、http://www.tldp.org/HOWTO/LVM-HOWTO/index.htmlを参照して下さい。

次ぎに rhgbrhgbパッケージがインストールされていることと、/etc/inittabがデフォルトのランレベルは id:5:initdefault:に設定されていると表示する限り、グラフィカルブートがサポートされていることを示しています。

最後にquietは、全ての詳細なカーネルメッセージがブート時に抑制されていることを示します。

5.2.4. /proc/cpuinfo

この仮想ファイルはシステムで使用されているプロセッサのタイプを認識します。 次に標準的な/proc/cpuinfoの出力を示します:

processor	: 0
vendor_id	: GenuineIntel
cpu family	: 15
model		: 2
model name	: Intel(R) Xeon(TM) CPU 2.40GHz
stepping	: 7
cpu MHz		: 2392.371
cache size	: 512 KB
physical id	: 0
siblings	: 2
runqueue	: 0
fdiv_bug	: no
hlt_bug		: no
f00f_bug	: no
coma_bug	: no
fpu		: yes
fpu_exception	: yes
cpuid level	: 2
wp		: yes
flags		: fpu vme de pse tsc msr pae mce cx8 apic sep mtrr pge mca 
cmov pat pse36 clflush dts acpi mmx fxsr sse sse2 ss ht tm
bogomips	: 4771.02

5.2.5. /proc/crypto

このファイルは、それぞれの追加詳細を含む Linux カーネルで作成されたインストール済の暗号文手法を全てリストします。サンプルの/proc/cryptoファイルは以下のようになります:

name         : sha1
module       : kernel
type         : digest
blocksize    : 64
digestsize   : 20
 
name         : md5
module       : md5
type         : digest
blocksize    : 64
digestsize   : 16

5.2.6. /proc/devices

このファイルは現在設定されている各種のキャラクタデバイスやブロックデバイスを表示します (モジュールがロードされていないデバイスは除く)。 以下にこのファイルからの出力のサンプルを示します。

Character devices:
  1 mem
  4 /dev/vc/0
  4 tty
  4 ttyS
  5 /dev/tty
  5 /dev/console
  5 /dev/ptmx
  7 vcs
 10 misc
 13 input
 29 fb
 36 netlink
128 ptm
136 pts
180 usb
 
Block devices:
  1 ramdisk
  3 ide0
  9 md
 22 ide1
253 device-mapper
254 mdp

/proc/devicesからの出力には、デバイスのメジャー番号と名前が含まれています。 そして2つの主要なセクションに分かれています。Character devicesBlock devicesです。

キャラクタデバイスブロックデバイスと類似していますが、 次の2つの相違点があります:

  1. キャラクターデバイスはバッファを必要としません。ブロックデバイスは利用出来るバッファを持ち、それらに処理する前に順序付けをすることができます。これは、情報を保存するためのデバイス— ハードディスクなど—にはとても重要です。情報をデバイスに書き込む前に順番を付けることができると、効率のよい順番に配置できるためです。

  2. キャラクタデバイスでは、事前設定サイズのないデータを送信します。ブロックデバイスはデバイス毎の特定サイズ設定のブロック単位で情報を送受信します。

デバイスに関する詳細は、インストールされている以下のドキュメントを参照してください。

/usr/share/doc/kernel-doc-<version>/Documentation/devices.txt

5.2.7. /proc/dma

このファイルには、使用中の登録済み ISA DMA チャンネルの一覧が含まれています。 /proc/dmaファイルの例は以下のようになります:

 4: cascade

5.2.8. /proc/execdomains

このファイルは、このファイルは、Linuxカーネルが現在サポートしている実行ドメインと、 サポートしているパーソナリティの範囲の一覧を表示します。

0-0   Linux           [kernel]

実行ドメインをオペレーティングシステムの「パーソナリティ」と考えます。 Solaris、UnixWare、FreeBSD など他のバイナリフォーマットも Linux で使用できるので、 実行しているタスクのパーソナリティを変更して、プログラマーはオペレーティングシステムが、 これらのバイナリからのシステム呼び出しを処理する方法を変更できます。 PER_LINUX実行ドメイン以外は、 各種のパーソナリティが動的にロード可能なモジュールとして実装できます。

5.2.9. /proc/fb

このファイルには、フレームバッファデバイス、その番号、それを制御するドライバなどの一覧が保存されています。フレームバッファデバイスを搭載したシステムの/proc/fbの典型的な出力例は次のようになります。

0 VESA VGA

5.2.10. /proc/filesystems

このファイルは、カーネルが現在サポートしているファイルシステムタイプの一覧を表示します。汎用の/proc/filesystemsの出力例は次のようになります:

nodev   sysfs
nodev   rootfs
nodev   bdev
nodev   proc
nodev   sockfs
nodev   binfmt_misc
nodev   usbfs
nodev   usbdevfs
nodev   futexfs
nodev   tmpfs
nodev   pipefs
nodev   eventpollfs
nodev   devpts
        ext2
nodev   ramfs
nodev   hugetlbfs
        iso9660
nodev   mqueue
        ext3
nodev   rpc_pipefs
nodev   autofs

最初の列は、ファイルシステムがブロックデバイスにマウントされているかどうかを示します。 nodevで始まる列は、ファイルシステムがブロックデバイスに マウントされていないことを示します。2番目の列は、サポートされているファイルシステムの名前を 表示します。

mountコマンドは、引数としてファイルシステムが指定されないと、 ここにリストしてあるファイルシステムの中を検索して回ります。

5.2.11. /proc/interrupts

このファイルは x86 アーキテクチャ上で IRQ ごとの割り込み数を記録します。 標準的な/proc/interruptsは次のようになります。

           CPU0       
  0:   80448940          XT-PIC  timer
  1:     174412          XT-PIC  keyboard
  2:          0          XT-PIC  cascade
  8:          1          XT-PIC  rtc
 10:     410964          XT-PIC  eth0
 12:      60330          XT-PIC  PS/2 Mouse
 14:    1314121          XT-PIC  ide0
 15:    5195422          XT-PIC  ide1
NMI:          0 
ERR:          0

マルチプロセッサのコンピュータの場合、このファイルは多少異なります:

           CPU0       CPU1       
  0: 1366814704          0          XT-PIC  timer
  1:        128        340    IO-APIC-edge  keyboard
  2:          0          0          XT-PIC  cascade
  8:          0          1    IO-APIC-edge  rtc
 12:       5323       5793    IO-APIC-edge  PS/2 Mouse
 13:          1          0          XT-PIC  fpu
 16:   11184294   15940594   IO-APIC-level  Intel EtherExpress Pro 10/100 Ethernet
 20:    8450043   11120093   IO-APIC-level  megaraid
 30:      10432      10722   IO-APIC-level  aic7xxx
 31:         23         22   IO-APIC-level  aic7xxx
NMI:          0
ERR:          0

1番目の列はIRQ番号です。システム内のそれぞれのCPUは独自の列とIRQごとの割り込み数を持ちます。 次の列は割込みのタイプを示し、最後の列がそのIRQにあるデバイス名です。

このファイル内の各割り込みタイプはアーキテクチャ固有なので、それぞれ意味することが異なります。 x86 マシンなら以下のような値が一般的です。

5.2.12. /proc/iomem

このファイルは、それぞれのデバイス用に、システムの現在のメモリマップを表示します:

00000000-0009fbff : System RAM
0009fc00-0009ffff : reserved
000a0000-000bffff : Video RAM area
000c0000-000c7fff : Video ROM
000f0000-000fffff : System ROM
00100000-07ffffff : System RAM
  00100000-00291ba8 : Kernel code
  00291ba9-002e09cb : Kernel data
e0000000-e3ffffff : VIA Technologies, Inc. VT82C597 [Apollo VP3]
e4000000-e7ffffff : PCI Bus #01
  e4000000-e4003fff : Matrox Graphics, Inc. MGA G200 AGP
  e5000000-e57fffff : Matrox Graphics, Inc. MGA G200 AGP
e8000000-e8ffffff : PCI Bus #01
  e8000000-e8ffffff : Matrox Graphics, Inc. MGA G200 AGP
ea000000-ea00007f : Digital Equipment Corporation DECchip 21140 [FasterNet]
  ea000000-ea00007f : tulip
ffff0000-ffffffff : reserved

最初の列は異なる各メモリタイプで使用するメモリレジスタを表示します。2番目の列は、これらのレジスタ内にあるメモリの種類を示し、 システムの RAM 内でカーネルが使用するメモリレジスタを表示、あるいは NIC に複数のイーサネットポートがある場合は、各ポートに割り当てられているメモリレジスタも表示します。

5.2.13. /proc/ioports

/proc/ioportsの出力は、デバイスで入出力通信に使用する現在登録されているポート領域の一覧を提供します。このファイルはきわめて長くなることがあります。以下は一覧の一部です。

0000-001f : dma1
0020-003f : pic1
0040-005f : timer
0060-006f : keyboard
0070-007f : rtc
0080-008f : dma page reg
00a0-00bf : pic2
00c0-00df : dma2
00f0-00ff : fpu
0170-0177 : ide1
01f0-01f7 : ide0
02f8-02ff : serial(auto)
0376-0376 : ide1
03c0-03df : vga+
03f6-03f6 : ide0
03f8-03ff : serial(auto)
0cf8-0cff : PCI conf1
d000-dfff : PCI Bus #01
e000-e00f : VIA Technologies, Inc. Bus Master IDE
  e000-e007 : ide0
  e008-e00f : ide1
e800-e87f : Digital Equipment Corporation DECchip 21140 [FasterNet]
  e800-e87f : tulip

1番目の列には2番目の列に表示されているデバイスのために予約されている実際のIOポートアドレス範囲が表示されます。

5.2.14. /proc/kcore

このファイルはシステムの物理メモリを表し、コアファイルフォーマットで保存されます。大部分の /procファイルと異なり、kcoreはサイズを表示します。この値はバイト単位で、使用される物理メモリ(RAM)のサイズに 4K バイトを加えたものです。

このファイルの内容は、gdbなどのデバッガで検査されるようにデザインされており人間には読み取れません。

注意注意
 

/proc/kcore仮想ファイルは表示しないでください。このファイルの内容は、ターミナル上のテキスト出力を撹乱させます。誤ってこのファイルを表示させてしまった場合は、[Ctrl]-[C]キーを押して、プロセスを中止してください。それから、resetと入力して、コマンドラインのプロンプトを呼び戻します。

5.2.15. /proc/kmsg

このファイルはカーネルによって生成されるメッセージの保留のに使用されます。 保留されたメッセージは後に後/sbin/klogd/bin/dmesgなどの 他のプログラムによって使用されます。

5.2.16. /proc/loadavg

このファイルは、CPU と IO オーバータイム両方に関するロード平均と共にuptimeや他のコマンドが使用する追加データを表示します。 /proc/loadavgファイルの例は次の通りです:

0.20 0.18 0.12 1/80 11206

最初の3 桁は、1分、5分、10分間前に測定された CPU と IO 使用率を表示します。4番目の桁は、現在実行されているプロセス数とプロセス総数を表示します。最後の桁は、前回使用したプロセス ID を表示します。

5.2.17. /proc/locks

このファイルは、カーネルが現在ロックしているファイルを表示します。このファイルには、 カーネルの内部デバッグデータが保存されており、ファイル内容はシステムの使用によって大きく異なります。負荷の軽いシステムの/proc/locksファイルの出力例は次のようになります。

1: POSIX  ADVISORY  WRITE 3568 fd:00:2531452 0 EOF
2: FLOCK  ADVISORY  WRITE 3517 fd:00:2531448 0 EOF
3: POSIX  ADVISORY  WRITE 3452 fd:00:2531442 0 EOF
4: POSIX  ADVISORY  WRITE 3443 fd:00:2531440 0 EOF
5: POSIX  ADVISORY  WRITE 3326 fd:00:2531430 0 EOF
6: POSIX  ADVISORY  WRITE 3175 fd:00:2531425 0 EOF
7: POSIX  ADVISORY  WRITE 3056 fd:00:2548663 0 EOF

各ロックに対して、各行の始めに固有の番号が割り当てられます。2番目の列は、 使用ロッククラスを示します。FLOCKは、 flockシステム呼び出しからの従来のスタイルのUNIXファイルロックを表し、 POSIXは、lockfシステム呼び出し からの新しいPOSIXロックを表します。

3番目の桁には2つの値:ADVISORY又はMANDATORYです。ADVISORYは、ロックしても他のユーザーがデータにアクセスできることを意味します。つまり、他のユーザーがロックすることを防止するのみです。MANDATORYは、ロックされている間、他のユーザーがデータにアクセスできないことを意味します。4番目の桁は、ロックによってREADWRITEのアクセス権を持つユーザーがファイルにアクセスできるようにするかどうかを示します。5番目の桁は、ロックを保持するプロセスの ID を示します。6番目の桁は、ロックされるファイルの ID を示します。その形式は、MAJOR-DEVICE:MINOR-DEVICE :INODE-NUMBERです。7番目と8番目の桁は、ファイルのロックされた領域の開始と終了を示します。

5.2.18. /proc/mdstat

このファイルには、複数ディスクのRAID設定の現在の情報が保存されています。 システムにこのような設定がない場合、/proc/mdstat ファイルは次のようになります。

Personalities : 
read_ahead not set
unused devices: <none>

ソフトウェアRAIDもしくはmdデバイスを作成しない限り、ファイルは上記の状態のままです。その場合は、/proc/mdstatを表示して、mdX RAID デバイスでの現在の状況を見ます。

/proc/mdstatファイルは、以下のように、システムにRAID 1デバイスとして構成された md0を示します。ファイルは、ディスクを現在再同期化しています:

Personalities : [linear] [raid1]
read_ahead 1024 sectors
md0: active raid1 sda2[1] sdb2[0] 9940 blocks [2/2] [UU] resync=1% finish=12.3min
algorithm 2 [3/3] [UUU]
unused devices: <none>

5.2.19. /proc/meminfo

これは、よく使われる/procディレクトリ内のファイルの1つです。 システム上の現在のRAM使用率についての大量の貴重な情報をレポートします。

次の例のような/proc/meminfo仮想ファイルは 256 MバイトのRAM と 512 Mバイトのスワップ領域を持つシステムからの例です:

MemTotal:       255908 kB
MemFree:         69936 kB
Buffers:         15812 kB
Cached:         115124 kB
SwapCached:          0 kB
Active:          92700 kB
Inactive:        63792 kB
HighTotal:           0 kB
HighFree:            0 kB
LowTotal:       255908 kB
LowFree:         69936 kB
SwapTotal:      524280 kB
SwapFree:       524280 kB
Dirty:               4 kB
Writeback:           0 kB
Mapped:          42236 kB
Slab:            25912 kB
Committed_AS:   118680 kB
PageTables:       1236 kB
VmallocTotal:  3874808 kB
VmallocUsed:      1416 kB
VmallocChunk:  3872908 kB
HugePages_Total:     0
HugePages_Free:      0
Hugepagesize:     4096 kB

この情報の多くは、freetoppsコマンドで使用します。実際、freeコマンドの出力は/proc/meminfoの内容と構造によく似ていますが、/proc/meminfoを見ると、より多くの詳細を表示しています。

5.2.20. /proc/misc

このファイルは、デバイス番号10のその他のメジャーデバイス上に登録されている その他のドライバを一覧表示します:

 63 device-mapper
175 agpgart
135 rtc
134 apm_bios

最初の列は各デバイスのマイナー番号で、2番目の列は使用中のドライバです。

5.2.21. /proc/modules

ファイルには、カーネルにロードしたすべてのモジュールの一覧が表示されます。 その内容はシステムの設定と用途によって異なりますが、次の/proc/modulesファイル出力の例と似たような構成になっています。

注記注記
 

この例では読み取り可能な形式にフォーマット変更されています。この情報は/sbin/lsmodコマンドでも表示することもできます。

nfs      170109  0 -          Live 0x129b0000
lockd    51593   1 nfs,       Live 0x128b0000
nls_utf8 1729    0 -          Live 0x12830000
vfat     12097   0 -          Live 0x12823000
fat      38881   1 vfat,      Live 0x1287b000
autofs4  20293   2 -          Live 0x1284f000
sunrpc   140453  3 nfs,lockd, Live 0x12954000
3c59x    33257   0 -          Live 0x12871000
uhci_hcd 28377   0 -          Live 0x12869000
md5      3777    1 -          Live 0x1282c000
ipv6     211845 16 -          Live 0x128de000
ext3     92585   2 -          Live 0x12886000
jbd      65625   1 ext3,      Live 0x12857000
dm_mod   46677   3 -          Live 0x12833000

一番目の桁にはモジュール名が含まれています。

二番目の桁はモジュールのメモリサイズをバイト単位で表示します。

三番目の桁は現在ロードされているモジュールのインスタンス数量をリストします。0の値はロードされていないモジュールを示します。

四番目の桁はモジュールが機能するために別のモジュールに依存するかどうかを表示します。そしてその他の依存モジュールをリストします。

五番目の桁はモジュールのロード状態をリストします: LiveLoading、又はUnloadingのみが表示可能な値です。

六番目の桁はロードされたモジュールの現在のカーネルメモリオフセットをリストします。この情報はデバッグ目的やoprofileなどのプロファイルツールの為に役に立ちます。

5.2.22. /proc/mounts

このファイルは、システムで使用中の全マウントの一覧を提供します。

rootfs / rootfs rw 0 0
/proc /proc proc rw,nodiratime 0 0
none /dev ramfs rw 0 0
/dev/mapper/VolGroup00-LogVol00 / ext3 rw 0 0
none /dev ramfs rw 0 0
/proc /proc proc rw,nodiratime 0 0
/sys /sys sysfs rw 0 0
none /dev/pts devpts rw 0 0
usbdevfs /proc/bus/usb usbdevfs rw 0 0
/dev/hda1 /boot ext3 rw 0 0
none /dev/shm tmpfs rw 0 0
none /proc/sys/fs/binfmt_misc binfmt_misc rw 0 0
sunrpc /var/lib/nfs/rpc_pipefs rpc_pipefs rw 0 0

この出力は/etc/mtabの内容と似ていますが、/proc/mountが最新のものである点が異なります。

1番目の列は、マウントされているデバイスを示します。2番目の列は、マウントポイントを表します。3番目の列は、ファイルシステムタイプを示します。4番目の列は、読み取り専用でマウントされているか(ro)、読み取り/書き込み(rw)モードでマウントされているかを示します。5番目と6番目の列は、/etc/mtabで使用されるフォーマットと一致させるためのダミー値です。

5.2.23. /proc/mtrr

このファイルは、システムで使用中の MTRR (Memory Type Range Registers)です。 システムのアーキテクチャが MTRR をサポートしている場合は、/proc/mtrr ファイルは、以下に似た表示となります。

reg00: base=0x00000000 (   0MB), size= 256MB: write-back, count=1
reg01: base=0xe8000000 (3712MB), size=  32MB: write-combining, count=1

MTRR は、Intel P6 系 プロセッサ(Pentium II 以上)で使用します。これは、プロセッサのメモリ範囲へのアクセスを制御します。PCIバスか AGPバス上でビデオカードを使用する際に、/proc/mtrrファイルを正しく設定すると、パフォーマンスは 150% 以上向上します。

ほとんどの場合、この値はデフォルトで正しく設定されています。手動でこのファイルを設定する方法については、オンラインで次の URL で見る事ができます:

/usr/share/doc/kernel-doc-<version>/Documentation/mtrr.txt

5.2.24. /proc/partitions

このファイルには、パーティションブロックの割り当て情報が含まれています。基本的なシステムからのファイルサンプルは次ぎの様になります:

major minor  #blocks  name
 
   3     0   19531250 hda
   3     1     104391 hda1
   3     2   19422585 hda2
 253     0   22708224 dm-0
 253     1     524288 dm-1

ここに述べる情報の多くは大部分のユーザーにとってはあまり重要ではありません。ただし、次の列は重要です:

5.2.25. /proc/pci

このファイルには、システム上の各PCIデバイスの完全な一覧が保存されています。 PCIデバイス数によって、/proc/pciはかなり長くなることがあります。基本的なシステムでは次の例に似た表示になります。

  Bus  0, device   0, function  0:
    Host bridge: Intel Corporation 440BX/ZX - 82443BX/ZX Host bridge (rev 3).
      Master Capable.  Latency=64.  
      Prefetchable 32 bit memory at 0xe4000000 [0xe7ffffff].
  Bus  0, device   1, function  0:
    PCI bridge: Intel Corporation 440BX/ZX - 82443BX/ZX AGP bridge (rev 3).
      Master Capable.  Latency=64.  Min Gnt=128.
  Bus  0, device   4, function  0:
    ISA bridge: Intel Corporation 82371AB PIIX4 ISA (rev 2).
  Bus  0, device   4, function  1:
    IDE interface: Intel Corporation 82371AB PIIX4 IDE (rev 1).
      Master Capable.  Latency=32.  
      I/O at 0xd800 [0xd80f].
  Bus  0, device   4, function  2:
    USB Controller: Intel Corporation 82371AB PIIX4 USB (rev 1).
      IRQ 5.
      Master Capable.  Latency=32.  
      I/O at 0xd400 [0xd41f].
  Bus  0, device   4, function  3:
    Bridge: Intel Corporation 82371AB PIIX4 ACPI (rev 2).
      IRQ 9.
  Bus  0, device   9, function  0:
    Ethernet controller: Lite-On Communications Inc LNE100TX (rev 33).
      IRQ 5.
      Master Capable.  Latency=32.  
      I/O at 0xd000 [0xd0ff].
      Non-prefetchable 32 bit memory at 0xe3000000 [0xe30000ff].
  Bus  0, device  12, function  0:
    VGA compatible controller: S3 Inc. ViRGE/DX or /GX (rev 1).
      IRQ 11.
      Master Capable.  Latency=32.  Min Gnt=4.Max Lat=255.
      Non-prefetchable 32 bit memory at 0xdc000000 [0xdfffffff].

この出力はすべてのPCIデバイスをバス、デバイス、機能の順にソートした一覧を表しています。デバイスの名前とバージョンのほか、詳細な IRQ情報も得られるので、コンフリクトをすぐに検出できます。

ヒントヒント
 

より読みやすい情報は次のように入力して得られます:

/sbin/lspci -vb

5.2.26. /proc/slabinfo

このファイルは、slabレベルのメモリ使用率についての情報を提供します。バージョン2.2 以降の Linux カーネルは、 slab poolsを使用してページレベル以上のメモリを管理します。よく使用されるオブジェクトには独自の slab pool があります。

高度に詳細表示の/proc/slabinfoファイルを手動で構文解析する代わりに、/usr/bin/slabtopプログラムがリアルタイムでカーネルスラブキャッシュ情報を表示します。このプログラムにより、コラム選別や画面リフレッシュなどのカスタム設定が可能になります。

/usr/bin/slabtopの画面の例は以下のようになります:

 Active / Total Objects (% used)    : 133629 / 147300 (90.7%)
 Active / Total Slabs (% used)      : 11492 / 11493 (100.0%)
 Active / Total Caches (% used)     : 77 / 121 (63.6%)
 Active / Total Size (% used)       : 41739.83K / 44081.89K (94.7%)
 Minimum / Average / Maximum Object : 0.01K / 0.30K / 128.00K
                                                                                                                  
  OBJS ACTIVE  USE OBJ SIZE  SLABS OBJ/SLAB CACHE SIZE NAME
 44814  43159  96%    0.62K   7469        6     29876K ext3_inode_cache
 36900  34614  93%    0.05K    492       75      1968K buffer_head
 35213  33124  94%    0.16K   1531       23      6124K dentry_cache
  7364   6463  87%    0.27K    526       14      2104K radix_tree_node
  2585   1781  68%    0.08K     55       47       220K vm_area_struct
  2263   2116  93%    0.12K     73       31       292K size-128
  1904   1125  59%    0.03K     16      119        64K size-32
  1666    768  46%    0.03K     14      119        56K anon_vma
  1512   1482  98%    0.44K    168        9       672K inode_cache
  1464   1040  71%    0.06K     24       61        96K size-64
  1320    820  62%    0.19K     66       20       264K filp
   678    587  86%    0.02K      3      226        12K dm_io
   678    587  86%    0.02K      3      226        12K dm_tio
   576    574  99%    0.47K     72        8       288K proc_inode_cache
   528    514  97%    0.50K     66        8       264K size-512
   492    372  75%    0.09K     12       41        48K bio
   465    314  67%    0.25K     31       15       124K size-256
   452    331  73%    0.02K      2      226         8K biovec-1
   420    420 100%    0.19K     21       20        84K skbuff_head_cache
   305    256  83%    0.06K      5       61        20K biovec-4
   290      4   1%    0.01K      1      290         4K revoke_table
   264    264 100%    4.00K    264        1      1056K size-4096
   260    256  98%    0.19K     13       20        52K biovec-16
   260    256  98%    0.75K     52        5       208K biovec-64

/usr/bin/slabtop含まれている/proc/slabinfo内の良く使用される統計の一部には次ぎのようなものがあります:

/usr/bin/slabtop プログラムについての詳細は、slabtopの man ページを参照してください。

5.2.27. /proc/stat

このファイルには、システムが最後に再起動されたとき以降のシステムに関する さまざまな統計情報が記録されています。 /proc/statの内容はきわめて長くなることがありますが、一般的に開始は次のようになります。

cpu  259246 7001 60190 34250993 137517 772 0
cpu0 259246 7001 60190 34250993 137517 772 0
intr 354133732 347209999 2272 0 4 4 0 0 3 1 1249247 0 0 80143 0 422626 5169433
ctxt 12547729
btime 1093631447
processes 130523
procs_running 1
procs_blocked 0
preempt 5651840

cpu  209841 1554 21720 118519346 72939 154 27168
cpu0 42536 798 4841 14790880 14778 124 3117
cpu1 24184 569 3875 14794524 30209 29 3130
cpu2 28616 11 2182 14818198 4020 1 3493
cpu3 35350 6 2942 14811519 3045 0 3659
cpu4 18209 135 2263 14820076 12465 0 3373
cpu5 20795 35 1866 14825701 4508 0 3615
cpu6 21607 0 2201 14827053 2325 0 3334
cpu7 18544 0 1550 14831395 1589 0 3447
intr 15239682 14857833 6 0 6 6 0 5 0 1 0 0 0 29 0 2 0 0 0 0 0 0 0 94982 0 286812
ctxt 4209609
btime 1078711415
processes 21905
procs_running 1
procs_blocked 0

よく使用される統計情報には次のようなものがあります。

5.2.28. /proc/swaps

このファイルはスワップ領域とその使用率を測定します。 スワップパーティションが1つのシステムの場合、 /proc/swapの出力は次のようになります。

Filename                          Type        Size     Used    Priority
/dev/mapper/VolGroup00-LogVol01   partition   524280   0       -1

この情報の一部は他の/proc/ディレクトリにもありますが、/proc/swapファイルは、各スワップファイルの名前、スワップ領域のタイプ、合計サイズ、使用中の領域(Kバイト単位)などのスナップショットを提供します。Priority の桁は、複数のスワップファイルを使用している場合に便利です。Priority (優先度)が低いほど、そのスワップファイルが使用される可能性が高くなります。

5.2.29. /proc/sysrq-trigger

echo コマンドを使用してこのファイルに書き込みを行なうとリモート root ユーザーはローカルターミナルで行なっているような感覚でシステム要求キーコマンドを遠隔操作することができます。このファイルに値をechoするには、0以外の値を/proc/sys/kernel/sysrq に設定する必要があります。システム要求キーについての詳細は、項5.3.9.3を参照してください。

root ユーザーであっても、このファイルに書き込むことはできますが、読むことはできません。

5.2.30. /proc/uptime

このファイルには、システムを最後に再起動してから経過した時間についての情報が保存されています。 /proc/uptimeの出力は次のように短いものです:

350735.47 234388.90

最初の数字は、システムが起動されている時間の総数を秒単位で表しています。 2番目の数字はその時間のうちのアイドル時間を秒単位で表しています。

5.2.31. /proc/version

このファイルは、使用中のLinuxカーネルとgccのバージョン、 及びシステムにインストールされている Red Hat Enterprise Linux のバージョンを表示します。

Linux version 2.6.8-1.523 (user@foo.redhat.com) (gcc version 3.4.1 20040714 \
 (Red Hat Enterprise Linux 3.4.1-7)) #1 Mon Aug 16 13:27:03 EDT 2004

この情報はユーザーがログインした時のバージョンデータなど、さまざまな目的に使用できます。